「旅の宿家」鳥取境港❝縁❞ ブログ(^^♪

とにかく「旅」が好きな自由人。
「旅そのものと境港・水木しげるロードを楽しむ」に拘った「旅の宿家」(ゲストハウス様式)を、2016年8月26日にオープンしました。
https://guesthouse-en.jimdo.com/
女性客とファミリー主体の”遊び心”いっぱいの寛ぎの空間です!
米子や大山、松江、美保関、隠岐などへの起点としても生かせる「妖怪と魚の町」を楽しんでください!

「がっかり観光地」と言われないために。

今日(4月15日)の讀賣新聞の配信記事に、とても気になる話がありました。

内容を抜粋しながら、境港の現状と今後への課題など、思うことを述べていきます(≪ ≫が抜粋部分)。




≪多くの観光客が押し寄せている状況に、おもてなしの気持ちや丁寧さが二の次になってしまっているのだろう。風呂場に居合わせた日本人観光客の中には、「あんな言い方しなくてもいいのに。さっさと入って、とっとと出ていけと言わんばかりだ」と漏らす人もいた。これでは、せっかくの評判も台無しだ。≫


※対峙する人が多すぎると「接客」ではなく「捌き」になってしまいがちです。従業員を雇っている店舗などは「上手に捌ける人」が「優秀」とされることもありますが、やはり“気持ち”が透けて見えないと、心には残らないもの。結局は「その仕事を好きでやっているか」だと思います。
「義務」としか思っていないような姿勢が見えてしまうのは残念です。




≪外国人観光客の急増は、欧米の旅行ガイドブックに紹介されただけでなく、実は海外への熱心な売り込み、大手旅行会社や商社などのバックアップのおかげだ。地元観光業者とはかけ離れた力によって得た“成功”や“評判”は、ややもすれば、観光地の接客やおもてなしの質に反映されないこともある。≫


※境港の行政としては、現在、行われている大リニューアルの完成を見据え、今まで以上に団体客や外国人観光客の誘致に熱心になりそうです。しかし、水木しげるロードが抱いてきた“まちづくり”は「子ども連れのご家族や女性客向け」であり、水木作品の世界観が分からない外国人が増えるのは、本質的には良くないと思っています。
また、ハード面の大リニューアルに伴って「ソフト面の向上」が課題だと思っていますが、その点で行政との“温度差”があります。道がきれいになって、仕掛けを施して、一時的に人は増えるかもしれません。しかし、併せて接客やおもてなしの質が上がらなければ、一過性で終わってしまいます。
観光振興は「細く永く」であるべきで、「ブーム」をつくってしまうと「反動」が怖く、地域に根付いた、民意を反映した形づくりをしていかなければならないと思います。




≪観光関係者は「素晴らしかった」「また来たい」などの称賛ばかりに目を向けたがるが、「実際に行ってみると、そうでもなかった」という不満にこそ真摯(しんし)に向き合う必要があるはずだ。≫


※不満や問題提議の“声”を“現場”で拾おうとするくらいの姿勢が大事。それが“まちづくり”であり、本質的な観光振興ではないでしょうか。
余談ですが、これは飲食店や施設に対する口コミなども同じで、「問題点」について書かれているものを見て、それがどう対処されているかを見極めることのほうが重要だと思います。




≪最近、自治体を悩ませているのは豪華大型客船の寄港だ。一時は、一挙に数千人規模が来訪することから、誘致・歓迎する動きもあったが、寄港地周辺では万引きやポイ捨てなどの迷惑行為も報告されている。商店街の中には、「クルーズ船客お断り」の貼り紙を掲示する店もあるという。≫


※境港は誘致に熱心ですが、やはり迷惑行為などの諸問題があり、中には「来てほしくない」と臨時休業する店舗もあるのが実情です。一方で「売れればいい」とばかりに商売熱心になる店があるのをはじめ、露店を出す人や外国語での呼び込み、聖書の販売など、露骨に「外国人を対象」とした「売り込み」も氾濫します。これらを「問題点」と捉えてくださるといいのですが、行政は「入り込み数」を上げることに熱心で「歓迎」の姿勢しか示しません。
「個人旅行」としての外国人観光客が増えるのは良いと思いますが、大規模な団体の存在は「町全体の質が下がる」ので、個人的には問題視しています。
前述のとおり、境港の主要観光客層は「子ども連れのご家族と女性客」。「外国人向けの観光地か」と言えば、はっきり言って「No」で、それを無理に「外国人歓迎」にする必要はありません。むしろ「町に最も適合した人」を増やす施策が必要で、そんな本来の主要客層が、外国人ばかりの雰囲気に嫌気が差して楽しめないようでは駄目なのですが・・・(ついでに言えば、日本人でも団体客は個人客と比べてマナーが悪いので、すべてにおいて「個人観光」に尽力すべきだと思います)。




≪観光で地域振興を考えるなら、あまり作為的な施策はかえってリスクを招きかねない。多くの自治体が「観光立県」をうたっている。しかし、観光振興という聞こえのいい地域活性化策に、どうしても東京の旅行会社や広告会社の思惑が透けて見える。観光客を受け入れる土壌が地域に育まれているのか。観光地として求められているのは何か。自治体の観光担当者は観光客の気持ちを知るために、まず自らが数多くの地域へ旅に出かけてみることだ。≫


※今回の大リニューアルがハード面だけで終わってしまうと「作為的な施策」にすぎなくなる懸念があります。そして「机上の理論」と「“現場”を知らない“偉い人”の発想」では、実際に求められているものとの相違が起こります。
観光にかかわる人は「数多くの観光地に旅に出て、良いところを吸収する」とともに、もっと大切なこととして「自分の町を“観光客の気持ち”で歩き、問題点を見出すこと」に取り組むべきだと思います。




水木しげるロードの大リニューアルは、ハード面の整備はほぼ形が見えてきました。しかし、思いのほかソフト面の整備が進んでおらず、期待値に達していません。
来てくださった観光客に、心から「楽しい」と語っていただけるように、自分ができることには尽くします。ただ、「店が閉まるのが早い」「客引きがうるさい」「見どころを外国人に占拠された」「割引などの案内をしてくれなかった」など、自分ではどうすることもできないことは多々あります。「そんな不満を忘れさせるくらい楽しんでいただけるよう努める気持ち」で接しているつもりですが、民間も行政も一体となった地域全体で問題視し、対処していかなければなりません。
そのあたりは「民意」と「行政」、「住民」と「商売人」、あるいは「住んで店を営んでいる人」と「店舗を借りて営んでいる人」、「観光客向けの店」と「地域住民向けの店」などで考え方の違いや温度差があり、難しい課題ではあります。


ただ、はっきり言えるのは、「町そのものへの愛情がある」か、が非常に大事だということ。
「利害関係」や「営利」などよりも、その“気持ち”が勝っていれば、目指す方向はある程度そろいます。方向性がバラバラだと、ちゃんと町を楽しもうとしている人や旅慣れている人には分かってしまいます。過度な呼び込みや外国人への過剰なサービスなどは、規制も必要でしょう。


個人的には、自分が境港に住んでいるのは、何と言っても「観光地としての、この町が好きだから」です。
前例のない“まちづくり”に惚れ込み、この町で日々、観光客と接していたいからです。
宿泊施設を運営することになり、一般的なものではなく「コミュニティ重視型」という、ある意味、無謀な、ややもすると批判されかねない方針を採っているのも「水木しげるロードの観光」に拘ってのことです。
「この町を心から楽しみたい人」への“想い”に応えながら「町」とかかわり、当面「観光客のために自分ができること」に徹底して、自分自身が楽しみながら取り組みつつ、問題点をしっかり見据えて提議し、少しでも「本来のこの町に合った観光客にとって魅力的な町」になるよう、努めていきます。