「旅の宿家」鳥取境港❝縁❞ ブログ(^^♪

とにかく「旅」が好きな自由人。
「旅そのものと境港・水木しげるロードを楽しむ」に拘った「旅の宿家」(ゲストハウス様式)を、2016年8月26日にオープンしました。
https://guesthouse-en.jimdo.com/
女性客とファミリー主体の”遊び心”いっぱいの寛ぎの空間です!
米子や大山、松江、美保関、隠岐などへの起点としても生かせる「妖怪と魚の町」を楽しんでください!

青春18きっぷの旅と、紙の時刻表

「青春18きっぷ」のシーズンになると、時折「長旅型」の人が来られます。
松江・出雲エリアの観光は、JRよりも一畑電車やバスのほうが便利で、同じフリー切符でも「縁結びパーフェクトチケット」のほうが利用しやすくなりますので、「青春18きっぷ」の利用者は、城崎・鳥取方面か、岡山・倉敷方面から来られる人(向かわれる人)が主です。


ただ、決して宿泊者数は多くありません。
「水木しげるロードの観光よりも“鉄道好き”のウェートが高め」だと、翌日の利便性を考えて「米子に泊まる傾向がある」と感じます。結局これも「鉄道が好き」か「水木しげるロード観光に関心が高いか」の違いです。宿泊される人は「半日は滞在して観光」となるので、青春18きっぷで水木しげるロードに来られるとしても「日中に1~2時間程度」になっていると思います。


利用パターンは、先述のとおり概ね2つ。


最も多いのが、城崎・鳥取方面から来られる人。
鳥取駅から境港までは、120キロ弱。青春18きっぷの「1回分」は140キロが目安になるので、若干足らないのですが「前日は鳥取市内に泊まり、倉吉などに途中下車しながら境港へ」という人が大半です。「トータルで元が取れればいい」と考えている人と、特性を理解していないケースが半々くらいに感じます。


次いで結構いるのは、伯備線で来られる人。
岡山―境港は150キロを超えるのですが、伯備線の新見―米子の間は普通列車が2~3時間おきに1本しかないので、鳥取方面からと比べると利用者は多くありません。
香川や愛媛からの「乗り通し」が僅かながらありましたが、主体は「前日は岡山か倉敷に泊まって観光し、プラスとして高梁(備中松山城)や新見(井倉洞)などを楽しんでから来られる人」です。


いずれも「移動だけで1日を使って来られる人」は少なめ。どちらのルートも都市間移動ではなく途中に観光スポットも多いので「立ち寄りながらの長旅」が主になります。


ほか、たまに「萩・長門および下関方面から来られる(向かわれる)人」もいます。
境港―萩は270キロほどあるので利用価値はありますが、長門市(山口県)―大田市(島根県)の間は過疎化が進んでおり、特に東萩―益田の間は列車の本数が極端に少ないため、調べずに行ってしまうと「数時間待ち」もあり、注意が必要です。
温泉津―東萩の間は大きな観光スポットもないため「長距離移動にはしやすい」とは言えるので、うちの宿泊後「温泉津温泉に泊まられた人」「松江・出雲は観光せず萩まで行かれた人」もいます。


上記のように、あまり長距離移動者はいないのですが、昨年は「境港―福岡県内」の移動が2組ありました。
1組は子ども連れのご家族で「子どもが鬼太郎大好き」。行き帰りは移動だけで、連泊して境港をゆっくり楽しまれました。もう一人は50代の女性で「訪ねたことがある場所は寄らず、移動日は専念」でした。
ほか、開業半年後くらいの時、旅先で親しくなった鉄道好きの友人(20代女子)が大阪から来てくださったのですが、彼女が「境港→米子→江津→三次→広島」というルート。「(今は廃止された)三江線を乗りに行く」が最大の目的で「境線も乗ったことがなかったので」泊まられました。


そのような「青春18きっぷの旅人」ですが、いくつか気付いたことがあります。


※Ⅰ:「普通列車しか乗れない」に縛られすぎている。
※Ⅱ:「一つのプラン」しかタイムテーブルをつくっていない。
※Ⅲ:「出発地」から考えたものが主で「到着地(宿泊地)」から逆算できていない。


※Ⅰは「青春18きっぷ検索」によるもので「一部分だけ特急に乗る」「バスや私鉄を併用する」などに目が向いておらず「観光滞在時間が短くなってしまう傾向」が生じています(「検索」に関する話は後述します)。
※Ⅱは「観光滞在時間が“先に決められている”」ために「時間が足りなかった」が起こりがちです(逆もあるかも)。
※Ⅲについては「もう1本後の列車に乗っても、乗り継ぎの関係で到着は同じ時刻」になり「何もない駅で無駄に待つ」などがあります。それも旅の醍醐味ではありますが「無計画でそういう時間を楽しむ」のと「計画ミス」は意味合いが異なります。


これらは皆、基礎となる「時刻表の“読み方”を知らない」ため。
「夜に到着して宿泊、そこで翌日のプランを考える」だと一緒に計画を立てられますが「融通が利かないタイムテーブルが出来上がりすぎている人」もいます。山陰は「列車の本数が相対的に少ない」のもあるのですが「時刻表が活用できていれば、応用を知っていれば・・・、もったいない」と思うことは多々あります。


相談に応じる際は「簡易時刻表」=写真=で説明し、差し上げています。
「途中下車」と「乗り換え」の見方とルールを知るだけで、かなり「旅の幅」は広がります。
「普通列車で乗り継げなくても、一部分だけ特急を使ってショートカットする」などは、時刻表の“読み方”が分かれば簡単です。
併せて、料金形態や切符のルールについて、いくつかの本で説明しています。

費用/時間/手段/目的――などの兼ね合いで「最善のプランを提案する」のは「旅宿」としての務めだと思っています。「予約時から来られるまでの間」に相談してくださる人もいますが、もっと増えてほしいと願っています(40代以上の女性一人旅が多め。グループやご家族は飲食店などの情報は欲しますが、こういった相談は滅多にありません)。


さて「時刻表」に関する話ですが、宿を始めてから間もなく3年半ほどたつものの「紙の時刻表(本)を持って旅している人」が殆ど来ていません。


大半が「検索」の「結果」を基に旅していますが「途中下車や有効期限などの“切符のルール”」を知らずに使われています。便利なツールではありますが、基礎知識がないと調べ方が単調になり、先述のような「一部だけ特急」といった“技”は発見できません。
また、気になる点として「ICカードが使えない場所だけ」「下車ごと」に切符を買っている人が多いのですが、長距離移動で何度も途中下車する場合などは、割高になることが結構あります。
これらも、時刻表を“読めれば”決して難しくありません。先述の青春18きっぷの話でもあるように「応用が利かない」とロスが生じやすいですし「賢く費用を抑えることも、効率よく“時間を買う”こともできる利点」を生かしたほうが良いと思います。


昔は、旅に出ると「駅や列車内で1冊の時刻表を“読んでいる”人」が結構いました。特に青春18きっぷの時期は多かったですが、今はかなり見掛けなくなりました。「旅してるなぁ」と感じる一つの目安で「旅先で仲良くなる」のは、こういうスタイルの人でもありました。


実は、自分も最初は持ち歩いていましたが、じゃまなのでやめました。今は、以下のスタイルが主です(青春18きっぷに限った話ではありません)。


※1:計画は“紙の時刻表”で立てる。
※2:タイムテーブルを“複数案”つくる。
※3:必要な部分のコピーを持参する。


※1は、臨時列車などの確認と「長年の慣れ」から。そして「JR以外の交通手段との兼ね合いなど、多角的に情報を得るため」です。
※2は、旅したい場所での所要時間は「行ってみないと分からない」から。滞在状況もですが、天候によって選択することが結構あります。
※3は、実際の印象や天候状況、不測の事態などにより、複数案つくっても、さらに変更する場合があるからです。


ちなみに「複数の案をつくっても、滅多にそのとおりに行動していません」。
「それなら案をつくる必要はないのでは?」と言われそうですが「計画を立てないほうが、確実に出費が増える」のです(フリー切符を使っている場合は除く)。
また「シミュレーションどおりにならなかったことを、後で検証する」を大切にしています。これは「旅人さんへのアドバイス」にも繋がりますし、同じ場所へ季節を変えて行く際に役立ちます。


「旅慣れてきたから、できるようになった」とは言えますが、根底には「満足度を高めるには、基礎知識が必要」と思ったからです。そのため、旅行業務取扱主任者や旅行地理検定、時刻表検定なども勉強し「考える旅」に移行していきました。


細部まで決めている旅も、無計画な旅も、それぞれの楽しみ方ではあります。
ただ「基礎知識があれば、無駄な費用は抑えられる」のは確かで「正しい知識があるうえで」と「無知」とでは、全く違うと思っています。「節約や工夫ができる部分は効率を良くし、その分を旅そのものを楽しむことに充てる」であってほしいです。


最後に、身近な参考例を一つ。
鳥取―境港の間は100キロを超えるため「直通切符を買うと2日間有効で途中下車が可能」。一方で「IC不可の鳥取―伯耆大山は切符、伯耆大山―境港はICで乗車だと、料金は40円ほど安いですが、途中下車は不可」になります。
つまり「倉吉や由良、湖山などで1か所でも途中下車するなら直通切符を買う方が得」で「途中下車しないなら切符+ICのほうが得」です。
なお「IC利用を伯耆大山までではなく境港―米子にすると、直通利用より逆に40円ほど高い」となってしまいます。実際「乗り換え時間があるから米子で外に出る人」が、こんな感じで利用してしまうケースがあります。
「距離と料金のルールを知っていれば、安くすることも可能」で、松江・出雲方面へ向かう、もっと長距離移動――などでも「切符の買い方一つで料金は変化」します。大抵は「10円単位の違い」ですが、積み重ねれば「数百円浮かすこと」もできます。


費用/時間/手段/目的・・・などの要点を引き出し、旅人さんにとって「何が最適か」をアドバイスする形で接していくことを大切にしていますので、ご宿泊以外の人でも、ぜひご相談いただければと願っています。