「旅の宿家」鳥取境港❝縁❞ ブログ(^^♪

とにかく「旅」が好きな自由人。
「旅そのものと境港・水木しげるロードを楽しむ」に拘った「旅の宿家」(ゲストハウス様式)を、2016年8月26日にオープンしました。
https://guesthouse-en.jimdo.com/
女性客とファミリー主体の”遊び心”いっぱいの寛ぎの空間です!
米子や大山、松江、美保関、隠岐などへの起点としても生かせる「妖怪と魚の町」を楽しんでください!

2020年のデータ

新型コロナウイルスの影響をもろに被った2020年。前年の2019年と比べてすべての月で入り込み数が下回ったどころか、前年比50%を超えたのは3月のみで終えそう(1月は新型コロナウイルスの影響はないが、前年は韓国人の利用が複数あった)。12月もキャンセルが相次ぎ、あす27日まで連泊されている親子を最後に、今のところ1月下旬まで予約がない。


夏の時点で、人数での「前年比20%」を目安にしていたが、10月が前年比6%ほどと全く伸びず、11月は平日が入らず(前年比は約38%)、12月も感染拡大の影響を受け、特に一人旅のキャンセルが相次いでしまった(同約30%)。Gotoトラベルキャンペーンにも参画したが、9月はまずまず入ったものの、地域共通クーポンと相性が合わない感じで10月から一人旅が激減。平日の稼働が大きくダウンしている。例年、12~3月は平日のほうが稼働するのだが、今入っている1~2月の予約も週末が主で、平日型の動きが鈍い(後述)。


前年との比較は、以下のとおり(2019年を「1.00」とした場合の値)。
※宿泊者数   0.16
※宿泊総人数  0.20
※入り込み組数 0.21
※稼働日数   0.42


※女性一人旅  0.26
※男性一人旅  1.00
※女性グループ 0.21
※男性グループ 1.00
※男女3人以上 0.00
※男女2人   1.00
※ファミリー  0.16


今年のそれぞれの割合(カッコ内は前年の割合)
※女性一人旅  0.51(0.45)
※男性一人旅  0.02(0.01)
※女性グループ 0.12(0.12)
※男性グループ 0.04(0.02)
※男女3人以上 0.00(0.01)
※男女2人   0.04(0.02)
※ファミリー  0.27(0.37)


人数・組数のわりに稼働日数が高いのは、後述するが「連泊率」が高かったのと、繁忙期に1室減らしたこと/女性専用ドミトリーを個室対応にしたこと/そもそも利用者の総数が減って、1日1組しか入らない日が多かったこと――が理由。


総人数や組数に比べて宿泊人数が少ないのは、一つは、ファミリーの「片親+こども」の比率が、前年=約35%→今年=約62%になったこと。ちなみに、片親のみの男女比は例年「父子旅3:母子旅7」くらいだが、今年は父子旅が40%以上と多め。これは「母子旅のほうが公共交通機関で来られる比率が高い」ので、断念したケースが多いのかもしれない。
もう一つは、今年は「大人のみ3人以上のグループ」がゼロ。昨年は女性3~4人グループが計5組、男性は5人組と3人組、男女混合も5人組が入っているが、今年はすべて2人組。宿のコンセプトや方向性と、感染拡大防止の観点から「人数の多い大人のグループ向けではない」ことを強調したのも、人数減の要因。ただ、問い合わせは「大人3人以上のグループでの週末利用」が多かった(基本的に週末は不可)。


中学生以下を連れたファミリーでのご利用は、過去3年間は「0.25→0.34→0.37」と年々増えていたが、今年は春休み・ゴールデンウィーク・夏休みの減少が大きく、大きく比率が下がった。ただし10月以降は、だいぶ戻りつつあり、落ち込みは女性一人旅のほうが顕著。


「男性1人/男性グループ/男女2人」は前年と同じ数字になったが、これはもともと総数が少ないうえに、前年がかなり少なかったのもある。2018年と比較すると、それぞれ0.30~0.50%ほど。
18年夏以降、基本的に「子どもが入る日は不可」なので平日しか受け入れていないので減少しているのだが、問い合わせは週末・繁忙期に偏る(後述)。また、今年、緊急事態宣言中や感染拡大が起きた時は、観光客自体が「男性のみ・男女2人・大人3人以上のグループ」ばかりになった。これは「女性客のほうが圧倒的に公共交通機関で来られる率が高いから減った/子ども連れでの旅行を敬遠する感じ」で、今また、車のグループが多くなり出して、同じ傾向になっている。


大きくプラスになったのは「連泊率」で、2019年が「0.11」だったのが「0.24」にアップ。16年(4か月ちょっと)=「0.07」、17年=「0.10」、18年=「0.04」。つまり、前年までは10人に1人くらいだった連泊者が、今年は4~5人に1人と増えた。来られてから1泊追加してくださったのも3人(一人旅ばかり)おり、かなり助けられた。


この理由は、繁忙期のOTAでの販売を減らしたこともあるが(自社予約のほうが、連泊率がかなり高い)、コミュニティスペースの方向性が明確に定まったのが実を結んだ感じ。転機は18年夏ごろで、この時期は水木しげるロードのリニューアルと鬼太郎アニメ放映開始で「ブーム型」の客層が増えたため連泊は少なくなったが、ここから子ども連れのご家族が急増し、コミュニティスペースの「在り方」が決まり出した。リピーターも18年に来てくださった人が多い。
実際、17年春に部屋構成などを大きく変えるまでに来られた人の、リピートは皆無。つまり、宿としても地域観光としても、ファン化はできていなかった。設備的な変化や向上は微々たるものなので、今のほうが「コミュニティスペースが生きるようになった」と言えるとは思う。


連泊に繋がったもう一つの理由は「事前連絡の強化」。予約ルールをさらに厳しくして、前日までのやり取りに重点を置いたのと、繁忙期以外は「宿」ではなく「駅」で出迎える対応に変えたことがあると思っている。事前連絡が密でなかった場合や、宿で迎える形だと、チェックインが事務的になってしまい、硬さが残るのと、コンセプトや雰囲気よりもハード面を見られてしまう。事前連絡を丁寧に行うことと、境港駅から宿までの5分ほどで「町案内」することで、利用者の楽しむポイントが分かりやすくなり、対応しやすくなる。「1泊追加」が増えたのは、この要素からだと思う。このあたりも「公共交通機関で来られる人」のほうが合いやすい(車やバイクの人は宿で迎える形になるし、到着時間が正確ではない。また「事前計画型」にもなりにくい)。
実際、相性が合いにくい人は、直前予約でメールを読まない人や、時間にルーズなタイプ。特に予定時刻より早く直接来られると、リズムが狂ってしまう。逆に、計画型で連絡が丁寧な人ほどInstagramなどをフォローしてくださるなど、その後の関係性が構築できやすい。


子どもも含めた男女比は2017年以降、大きく変わらず「男性3:女性7」くらい。「小学校低学年は男児が多い/中学生は女児が多い/中学生以下全体では、やや男児が多い」といった傾向も変わらない。


年代別では、大人のみでのご利用における学生の割合は「0.28」と、前年の「0.19」よりかなり高いのだが、これは3月までが、総人数が半減なのに前年より多かったことによる“貯金”。4月以降は大きく下がっており、動けていないのが明白(特に女性一人旅)。
ところが、それ以上に顕著なのが「40代以上の女性客」の減少。うちは「ユースホステルが好み」という40~60代くらいの女性が割と入っていたのだが、この層はGotoトラベルキャンペーン以降、安めのホテルを利用される傾向にありそう。
これらはともに「平日型」の層で、大きく落ち込んでいることが、4月以降、8・9月を除いて平日の稼働が非常に悪い要因となっている。「高速・夜行バスの壊滅的な激減」も影響が大きく、これらがいつ戻るかは大きな鍵となりそう。
つまり今年、女性客はグループも含めて、20代半ば~30代が主になった。


曜日別については、前年比で火曜が「0.07」、月曜が「0.12」と大きく下がった一方で、金曜が「0.40」と高め。連休時などの曜日の並びもあって一概には言えないが「週末型」が増えたのは確か。後述するが、今春から週末・繁忙期はOTAでの販売を減らし、予約停止日を1~2日早めたが、それでも週末・繁忙期の直前予約が多い。とにかく「平日型・事前計画型の人が動けていない」。
それでも女性一人旅は、最多こそ土曜ではあるが、例年どおり「曜日の偏りは小さい」。女性グループは、一人旅と比べると土・日曜が多くなるが多少は平日も入ることや、ファミリーが週末・繁忙期型なのも同じ。ちなみにファミリーも含め、月・火曜は男性の宿泊がゼロだった。問い合わせも含め、男性客が週末・繁忙期型なのも変わりはない。


地域別では、やはり近隣型になっていて、中国地方5県の割合が「0.16」→「0.32」と増えている。最多は大阪だが、2番目が山口、3番目が岡山。山口県からは前年より多い。近畿6府県は「0.30」→「0.26」と微減だが、ほかは北海道を除き、軒並み大幅に減少した。
うちは「スローツーリズム」として「公共交通機関での旅」を推奨しているのもあり、このあたりも厳しいところ。ファミリー層が多い九州や四国からは呼び込める可能性もあるが、関東や中部からは「高速・夜行バスや鉄道(青春18きっぷなど)での一人旅」が多いので、見通しが立っていない。


2021年については、17年くらいの人数まで戻ればと思っている。これは19年の約58%で採算ラインには遠い値だが、現状では上積みできる要素がないし、このあたりが落としどころだろう。あとは「連泊率」を今年並みに伸ばせるか次第。
リピーターはそれなりに増えていたが「公共交通機関で来られる人が大半」なので、客層的に昨年は途切れてしまった。繋がりは保っているので維持できそうではあるが、遠方からの一人旅は、まだまだ厳しい感じ。リピーターさんを軸とした「オフ会型」を増やしていければと思う。


正直なところ、Gotoトラベルキャンペーンによる価格崩壊が要因となり、ほかの宿も言われているが「普段と違う客層が来られることによるトラブル」が起きている。うちも僅かではあるが、事前案内を全く読んでいなかった人が入って相性の悪さが露呈したことがあったし、11月は無礼すぎる問い合わせや、全く内容を見ていないプラン対象外の誤予約も多発した。
行楽型グループが主体なのが変わらないため、現在も週末や繁忙期のOTAでの販売を減らしているが、さらに今、価格帯だけしか見ない人が増えていることで躊躇いがある。地域共通クーポンの存在によって、自社サイトの《割引特典》が生かしにくくなったのも痛手で、キャンペーンが長引くほうが厳しいかもしれない。


今後についていろいろ考えていることもあるが、短期的な視野ではなく、まずは「2022年、故・水木しげる先生の生誕100年」を見据えている。この日を一つの区切りと考えているので、来年度は、どれだけ耐えられるか。
とりあえず「観光客の目線」で物事を見て、楽しんでいただけるように情報を発信しつつ、目的計画型の人を応援していくことは守っていく所存。それしか、できない。