「旅の宿家」鳥取境港❝縁❞ ブログ(^^♪

とにかく「旅」が好きな自由人。
「旅そのものと境港・水木しげるロードを楽しむ」に拘った「旅の宿家」(ゲストハウス様式)を、2016年8月26日にオープンしました。
https://guesthouse-en.jimdo.com/
女性客とファミリー主体の”遊び心”いっぱいの寛ぎの空間です!
米子や大山、松江、美保関、隠岐などへの起点としても生かせる「妖怪と魚の町」を楽しんでください!

芸能人のご宿泊に思うこと

10月末、TV番組のロケで2人の芸能人にご宿泊いただきました(本日19日夜、放映です)。


まず、芸能人のご宿泊は素直に感謝しています。頂いたメッセージカードは宿泊者の目を引きますし、同じ部屋をご利用いただくだけで喜ばれることもあります。
が、個人的にTVに映りたくはなかったですし、マスコミを使って宣伝するつもりはありませんので、複雑な心境です。「芸能人が泊まられたこと」と「TV放映」は切り離して考えたい、と思っています。


正直なところ、ほかの宿泊者がいなかったら、またTV東京系でなかったら「撮影は不可」にしたかもしれません。今回の番組については、一切、打ち合わせもなく素のままの対応が放送されており、いわゆる“演出”はありませんが(お見送りのシーンも、すべての宿泊者を玄関先で見送っていますので、特別なことではありません)、これが事前に“つくられた”「取材」だったら受けなかったかもしれません。
自分がその番組を見たことがなかったうえにTV東京系だったので、失礼ながら注目度は低いだろうと思ったのと、地元などでロケや取材に接した際もTV東京系はほかの局に比べて“作為感”がなく好印象で、今回も取材班や制作部の対応が良かったのと、その日の宿泊者が歓迎されたのもあって受けた感じです。
これによって今後、意図しないことが起きる可能性もありますが、放映時およびその後の対応におけるこちらの要望は受け入れられているので、納得はしています。


宿としては普段どおりの対応しか行っておりませんし、宣伝の意図もありません。宿の方向性としては、あくまでも「『予約ルール』に基づいて対応し、コンセプトをご理解いただいた上でのご宿泊」が基軸です(そのため、番組サイドへ問い合わせがあった際も、電話番号は公開せず公式ホームページを案内する約束を交わしています)。
宿泊に至った経緯は、ロケ当日は教職員関係の大きな催しがあり「近隣の宿が、どこも満室だったため」ですが、受け入れる前に「宿の主旨、特徴、基本ルール」について説明し、ご理解をいただいているだけでなく、スタッフさんらに事前確認もしていただいております(そのあたり放映上では分からないかもしれません)。
行程の関係上、スタッフは事前に松江の宿を取っており、21時以降~翌朝は撮影が回っていません。「あくまでも“3人の旅人”として迎えた」ので、TVに映っていない通常の会話は、うちの宿らしい空気感になり、そこに「特別」なものはありません。また上記のとおり「ほか2軒が満室だったため来られただけ」で、単なる偶然の出来事です。


自分は新聞社に2社12年勤めていたので、ある程度は「マスコミ業界」に詳しいです。自分が在職していた10年~20年前と「現代」とは“報道の在り方”が違い、役割や捉え方は変化していますが、読者・視聴者に対する「影響力」は変わらない、いや「ブームをつくる」という点に限れば、大きくなっていると思います。
この、マスコミの「影響力」については、考えさせられるものがあります。
現実的な話をしますが、「真実を報道する」のではなく「報道されたことが真実だと思わせる」のが、マスコミの存在。大抵の人は「報道された内容に対して、疑ってかからない」ので、「検証されない情報だけが独り歩きしてしまうこと」もあるのです。
今は特に「ブーム」をつくって“誘導”する傾向があるので「本質」に行き届いていないと感じることが多々あります。新聞各社やTV局は、昔は各社ごとで「見解」「方向性」に「違い」を示すことでライバル視する傾向がありましたが、今は「同じ方向に飛びつき、流れに早く乗るのを競う」という感じです(すべて一概には言えないですが、ライバル関係の捉え方が「内容」よりも「早さ」にある感じになりつつあると思います)。そして、良くも悪くも「熱しやすく冷めやすい報道」で、見る側もそうなりがちです。
特に新聞においては「見出しやキャッチコピーしか読まない人」が多く、年齢が低くなるにつれて「活字をじっくり読む習慣」がなくなってきていることもあって、記事内容も「要点だけを短くまとめる傾向」が強まっています。「掘り下げる報道」は、TVのワイドショー的な番組か週刊誌が主で、新聞では見られなくなりました。
個人的には、TVで放送されたものよりも、歴史や経緯、そして“想い”といった「本質的」なものを大切にしたい、とは思っていますが・・・。


TV番組だと、例えば「生番組なのに数日前から何度もリハーサルし、台詞も一字一句決めている。しかも天候不良などで観光客が歩いていなかったりして映像と台詞が合わず――」。といった放送があるのが事実ですが、今回、そういう要素は一切ありませんでした。TV番組というよりも「旅人」として捉えることができたのは、良かったと思っています。
なので、「芸能人が泊まったから」ではなく、あくまでも「宿の特徴に共感して」来てくださる人が増えてくだされば幸いです。

「怪フォーラム」1月に京都で開催

境港、徳島県三好、岩手県遠野の3県持ち回りで行われてきた「怪フォーラム」が、今年は1月26日・27日に京都で開催されます。


この3市は「世界妖怪協会」(故・水木しげる先生が永久会長です)が、妖怪文化の普及に貢献した地域として認定した「怪遺産」を有するとしています。


2016年の境港開催の際は、徳島と岩手からも関係者や関心が深い人たちが来られ、盛り上がりました。


あと数日、予約状況を見て、26日に伺えればと検討しています。


テーマを絞る旅

先日、「日本各地の漁港の写真を撮っている」という写真家の女性にご宿泊いただきました。
朝6時半に起きて、自転車で卸売市場と中野港を巡ったほか、美保関へ渡り、美保神社にお参りしつつ近くの港を巡られました。
失われつつある昔ながらの「日本の原風景」を大切にしたいと“想い”を語られ、訪ねた地のいろいろな話を伺いました。神社仏閣なども好みなようで、基本的に「つくり込んでいない自然な姿が残っていること」に思い入れがあり、その“想い”がとても共感でき、中身の濃い、有意義な旅話を聞かせていただきました。
蕪島(青森県八戸)や太海(千葉県館山)など、自分もなじみがあり何度も旅している場所の話も出て、懐かしさと、災害の影響、整備による景観の損壊など“在り方”を考えさせられる話もあり、勉強にもなりました。


港などは昔ながらの生活感がそのまま残っているからこそ“画になる”もので、整備や観光地化は良し悪しだと感じます(町並みの保全なども同じですが)。
写真の基本として「引き算の思考、余計なものが映らないように撮ること」があるのですが、どれだけ美しく整備しても“つくられたもの”は違和感を覚えるもの。「本当に美しい風景」には、もともと「余計なものがない」ので、そのような違和感がありません。
よく「旅」において「何もないことも魅力」という言葉が聞かれますが「何もない」ではなくて「つくり込んでいないこと」にあると思います(水木しげるロードも、自分にとっての魅力は「観光地化が進んでも、町をつくり込まなかったこと」が「原点」です)。


下記のご本人のホームページで写真を紹介されていますので、関心があれば拝見してください。


今までも、明確な「一つのテーマ」の下で楽しまれている一人旅の女性には、何度かご宿泊いただいています。テーマを絞り込んでいるのは40~50代が多めです。


17年秋には「全国の“橋”を巡る」というの女性が来られ、江島大橋や境水道大橋へ向かわれました。自分はいわゆる“工業系”の物事は苦手なので、建築の話とかはさっぱりでしたが「景観としての美しさ」に関する話は、参考になるものが多かったです。
この年代は「神社巡り」「御朱印集め」も多いですが、特徴としては「かなりマイナーな神社まで足を延ばしていること」。「3泊4日で山陰エリア50か所くらい巡る」という人も来られています(公共交通機関では不便な場所も多いですが、工夫して効率よく訪ねられています。また、事前や当日にルートの相談を受けることも多いです)。「信仰」として、だけでなく「建造物」「歴史背景」などとしての関心が深い人もおり、人によってさまざまです。
ほかでは「刀マニア」「釣り旅」「魚通」「遊郭跡マニア」みたいな人も来られています。「鉄道マニア」も結構来られますが、男性が「車両に詳しい乗り鉄」が殆どなのに対し、女性は「駅舎」や「車窓風景」、あるいは「ラッピング車両」への関心が高いです(男性の鉄道マニアだと「鬼太郎列車」のようなラッピング車両は“邪道”だと嫌う人もいます)。
こうした「拘りの強い人」は、総じて年齢が高めなのもありますが、作法や言葉使い、マナーが非常に良い傾向があります(特に神社仏閣が好きな人)。行動的ですから「出発が早い人」が多く「羽目を外す」という感じもありません。


以前にも記しているとおり「女性の一人旅は約95%が公共交通機関で来られる」のですが、20代などの若年層も含めて「目的地意識」は全体的に高めで具体的(それがなければ境港に泊まらないでしょうが)。今のファミリー層は「子どもの希望」が主体なので「目的意識は高いが、行楽型」であるのに対し、女性客は「明確な目的の下での旅」が多いです。


また余談ですが、今回の女性は「青春18きっぷ」の利用者でしたが、中高年と20代までとで「青春18きっぷ」の使い方が、かなり異なります。
自分もそうなのですが、年齢が高めの人は「移動日は移動に徹し、観光する日は楽しむ」という感じ。「端折るところ」は徹底している感じです。学生や20代は移動手段に夜行バスを使うケースが多いのもあってか「移動しながら観光も」という小刻みに楽しむスタイルが主のようです。


なお「特殊なマニア系」の客層は、もちろん水木しげるロード観光には関心は薄いのですが、女性客のほうが「地域の飲食店で料理を楽しむ傾向」が強く、夜間ライトアップなども併せて見に行かれます。「ついでに見ていこう」という貪欲さも高いです。
「旅」という視点で見た時、うちの膨大な資料が生かせるタイプでもあるので、海や魚への関心が高い人、神社仏閣に関心がある人、鉄道好きな人――などにも、もっとご宿泊いただければと思います。

名前のデータ

延べの入り込み数が850人に達したので、名前のデータを取ってみました。
まだ「同姓同名」(同音も含む)はなく、バラエティーに富んでいますが、地域的に関西を中心に南関東、中国・四国、中部地方からが主なため、意外な偏りも出てきました。


利用者に多い苗字のベスト5は、次のとおり。
1位「山田」9組14人(苗字ランキング12位。一人旅女性5、男性1、家族2組、男女グループの一人×1)
2位「山口」6組12人(同14位。一人旅女性2、家族2組、女性グループの一人×2)
3位「井上」6組9人(同16位。一人旅女性3、男性1、2人組女性の一人×1、家族1組)
4位「鈴木」5組5人(同2位。一人旅女性4、男性1)
4位「前田」5組5人(同29位。一人旅女性3、男性1、2人組女性の一人×1)
以下、「田中」「伊藤」「渡辺」など4組入った苗字は多数あります。


上位の苗字は、いずれも「女性の一人旅」が多いです。
一人旅は「男性1:女性6」くらいの比率ですが、男性の苗字が「各1人ずつまんべんなく」なのに対し、女性は「特定の苗字が多い」感じになっています。2組入っているのも結構ある一方で、苗字ランキング1位の「佐藤」、同5位の「渡辺」がいませんし、同3位の「高橋」と同4位の「田中」も一人だけ(ちなみに「佐藤」「高橋」「田中」は男性も1人)。
「ご家族」の苗字も男性同様ばらつきがあって、3組以上入っている苗字はありません。
ダントツで最多の「山田」は地域がバラバラで、北は山形や新潟、関東も関西もいますし、鳥取県内からもいます。学生や関東在住の人は「出身地」も伺うことが多いのですが、「山田」は全国に散らばっている感じです。
2番目の「山口」は関東2、関西3、長崎1ですが、東京在住の一人も長崎出身と話していました。3番目の「井上」は一人だけ東京で、ほかは大阪が3組と岡山、佐賀で西日本ばかり。4番目の「鈴木」は南関東が4人と札幌が1人。南関東に多い苗字なので、その通りになっています。5番目の「前田」は東京、大阪、兵庫、島根、福岡が各1とバラバラです。


人数だけを見ると「渡辺」が15人で最多ですが「7人家族、5人家族、ご夫婦、男女グループの一人」の4組で、一人旅は男女ともいません。ちなみに同99位の「渡部」が1組入っていますが、こちらも5人家族。「渡」で始まる苗字は「子だくさんの家族」が多いです。


苗字ランキング1位の「佐藤」は2組6人だけ(男性とご家族1組)。同3位の「高橋」も2組2人。ともに北関東から東北かけてに多い苗字なので、あまり入っていません。「ベスト10の苗字は男女差が少ない」傾向です(男性にありふれた苗字が多めのうえ、特定の偏りがない)。


同9位までの苗字は2組以上入っていて、同10位の「加藤」が親子1組だけ。
同11位~16位も2組以上ですが、上記の「山田」「山口」「井上」に加え、同11位の「吉田」は女性ばかり3組4人(一人旅は1人)、同13位の「佐々木」は一人旅の女性2人、同15位の「松本」も女性3人(一人旅は2人)とご家族1組で、同10位までと違い、この範囲は圧倒的に女性が多いです。同17位の「斎藤」が女性1人だけ(ちなみに同45位の「斉藤」も女性1人だけ)。
以下、ベスト30までの苗字は、すべて1組以上入っており、また男女差があまりない感じになっています。
同31位の「小川」、同33位の「後藤」などが入っておらず、ここから急激に「ゼロ」の苗字が増えます。


意外なのは、中部に多い「伊藤」こそ4組入っていますが、ほかの「〇藤」の苗字があまり入っておらず、ほかに2組以上入った苗字はありません。苗字ランキング36位の「近藤」も1人だけ、「遠藤」(同39位)、「工藤」(同65位)、「安藤」(同71位)はゼロです。
北関東~東北分布型の「佐藤」や「斉藤」「斎藤」「工藤」が少ないのは納得ですが、「安藤」「加藤」「後藤」などは中部地方に多いので、「○藤」の人とは少し縁が薄いのかな、と感じてしまいます。なお「伊藤」は4組中2組が「名古屋市」からですが、「井藤」も名古屋から1人来ています。


一方で苗字ランキング400位以下では、同475位の「堀口」、同683位の「赤松」、同810位の「合田」、同1037位の「二瓶」、同1375位の「宮武」が、いずれも2組入っています。
「合田」のみ2組とも大阪府(1組は四国出身だと聞いた覚えがあります)ですが、ほかは「東北と関東」「関東と関西」「中部と中国」「中部と四国」など地域が異なるので不思議です。


苗字ランキング21,000位以下、推定世帯数が「50以下」の、いわゆる珍しい苗字の宿泊者は次のとおり。
「覚幸」「數森」「合掌」「貫戸」「鋪田」「先東」「竹堂」「伴谷」「仲底」「長三」「則井」「比山」「松嶌」「峯坂」が入っています(内訳は、一人旅の女性5人、男性2人、ご家族5組、グループの一人×2人)。地域はバラバラです。
自分が調べた感じでは「長三」が最少(データでは3世帯と出ます)。「先東」「則井」も10世帯以下となっています。
(苗字ランキングは村山忠重さん調査の資料などを基にしました)。


「名前」のほうは、子どもが多いので非常にバラエティに富んでいますが、全体に「男性よりも女性のほうがバリエーションが少なめ」で、特にうちは30~50代が多いこともあって、偏りがあります。


最多は「あやか」で10人。子どもと20歳代が大半です。「あやな」「あやね」「あやめ」などもいて「あや」は全体に多い感じ。「あい」「あき」も多く「あ」で始まる名前が目立ちます。
あとは「ひろこ」「ゆうこ」「ようこ」が続き、こちらは40~60代に多め。
割引対象と定めている「みずき」(みづき)さんも、5人入っています(女性4、男性1)。
いずれも表記はさまざまですが、「あかね」さん5人は「茜」3人と「あかね」2人。同表記では「裕子」(ひろこ・ゆうこ)が最多の4人で、すべて今年の夏以降。しかも、うち3人の苗字が「○田」です。
男性では「亮介」が2人なのが、やや珍しい感じ。「雄大」は「ゆうだい」と「ゆうた」、「真」は「しん」と「まこと」など、読みが異なるのが多いです。全体的には「ゆう」が付く名前が多く、大人も子どももあり。子どもの名前は「はる」が目に付きます。


同じ日に「ひろこ」さんが3人(しかも、すべて40代の一人旅)入ったのをはじめ、「あやか」さんが2人、「みずき」さんが2人の日もありました(しかも「みずき」さんは2人とも隠岐フェリー欠航の当日予約でした)。


こういった偶然は多々ありますし「一文字違い」もかなりあるのですが、まだ同姓同名はおろか「同音同名」さえありません。同じ名前の人で最初になるのは、どうなるでしょうか?


ほかに誕生月、日にち別などもデータ化していますが、いろいろ面白い傾向が見えてきます。
「データで遊ぶ」のは大好きなので、今後も検証を続けたいと思っています。

2018年の総括

間もなく2018年が幕を閉じます。
今年は、7月のリニューアルまでは昨年とほぼ同数の集客(目標値の70%ほど)でしたが、リニューアル後は子ども連れのご家族が大幅に増え、年内ご利用の延べ人数は475人ほどになりそうです。
年間目標として設定した「480人」に少し届かずですが、入り込み数は前年比で約138%と増加。8月が昨年の約1・5倍、11月に至っては4倍近く入りました。とは言え、12月は昨年の半分ほどに減っており、開業年の一昨年よりも少ないです。1月の予約も今年以下で、前途が開けているとは言えません。
水木しげるロードの観光として見ても、12月の平日は、団体客と外国人は目立ちましたが、個人客は「昨年より少ないのでは」と感じます。
また、増加分は子ども連れのご家族の割合が高く、特に未就学児と小学校低学年生が大幅増のうえ、今年は冷房費を設定しなかったので、一人あたりの平均額は昨年より500円近く下がっています(ご家族は予約サイトから多いので、手数料を加味すればもっと下がります)。とても赤字解消とはいかず、厳しい状況です。


男女比は「男性:約32%、女性:約68%」。
昨年は「男性:約28%、女性:約72%」でしたので、少し男性が増加しました。というか「3歳くらい~小学校低学年の男児」が大幅に増えました(昨年は女児のほうが8人多かったのですが、今年は逆に男児が9人多いです)。
年代別で見ると「高校生~20代」「60代」は昨年とほぼ同数。未就学児は3倍以上、小学生も3倍近いです。また、女性は一人旅、グループとも30~50代が増えていて、ご家族の保護者も30~50代が殆どなので、この年代はすべてほぼ倍増です。中学生のみ少し減りました。


子ども連れのご家族のご利用は、約34%と大幅に増加(昨年は約23%)。
12歳以下が約29%(未就学児が約16%)と、年代別で最多です(昨年は12歳以下が約20%)。
「両親と子ども1~3人(子どもの平均は約1・80人)」が大半ですが、「片親だけ」も20%近くあり、うち7割が「母親と子ども」(このパターン、なぜか殆どが男児)。「ママ友同士+それぞれの子ども」「祖父母と孫」という組み合わせも、それぞれ2組ずつありました。


一人旅は、男女合わせて約51%(昨年は約57%)。
女性は今年も昨年もほぼ同じ割合(昨年は約47%、今年は約49%)ですが、今年は30~50代が多く、平均年齢が上がりました。宿の方向性が定まって、「ユースホステルや民宿を好んできた世代」「ゲストハウス未経験者や、大勢でにぎやかなのは好まない人」には支持されていると感じています。
男性は子ども連れのご家族の増加で受け入れが難しくなったのと、予約ルールの一部変更により、7月以降は大きく減少しています。


グループは「女性のみ」「男性のみ」「男女混合3人以上」いずれも、ほぼ昨年並み。
もともと少なめですが、宿の雰囲気から人数の多いグループ向けではないので、現状でいいと思っています。女性は2人組が多かったのに対し、なぜか男性は3人組が主。
うちは料金形態を「一人当たりの金額×人数」にしており「大人の人数が多いと割安になる設定」にはしていません(個室1名の場合のみ300円高くなる)。「同一グループでの2室利用」のパターンも宿泊予約サイトでは一切販売していないので、公式ホームーページからの予約で5人組が3組入りましたが、それ以上はありませんでした。
リニューアル後「2家族あるいは大人5人以上」の問い合わせは多いのですが、「コミュニティスペース」の活用の意義が薄れるので、繁忙日は不可にしています。


「連泊者」は約4%。
昨年は約11%だったので大幅に減りましたが、「仕事」「帰省」「法事」などでのご利用があったためで、今年は「旅・観光」以外の連泊は1人もいません(こういった予約自体が大幅に減りました=昨年は約6%、今年は2%弱=)。詳細説明を強化したので、観光以外の人は予約取り消しが多いです。
卒論調査で来られた留学生が計7泊されましたが、ほかは3泊が3組(一人旅女子2人と1家族)だけ。あとはすべて2泊でした。
3泊の一人旅女子2人とご家族は、いずれも「境港を拠点に、公共交通機関を駆使して周辺の観光を楽しむ」で、うちの資料を大いに活用していただけましたし「旅人」として理想的でした(ご家族はチェックアウト後に出雲へ向かわれ、その時にレンタカーを借りていました)。
2泊の人は殆どが「水木しげるロードを1日かけて観光するタイプ」でした。
「観光プランニング」に尽力し「特に公共交通機関を使って効率よく楽しんでいただくこと」を提唱してもいるので、長期滞在型の宿ではないですが、2~3泊の人はもう少し増えてほしいです。
特に一人旅の女性は公共交通機関の利用者が多いこともあって「翌日以降の旅プランを一緒に考えること」が多々あります。その際「事前に宿泊地を決めてしまっているために、計画を難しくしていること」があり「予約の時点でご相談いただければ」と思うこともあります(実際、相談を受けて連泊に変えてくださったり、フリー切符を買われたケースもあります)。
この点は「得意分野」として、もっと生かしていきたいです(観光案内系に携わりたくて今の宿形態を取ったとも言えますので)。


宿泊者の「水木しげるロードでの観光滞在時間」として見ると、「一人旅の女性」と「ファミリー」は概ね4時間前後。「夕方か夜に到着、翌日の昼まで観光して移動」が多めですが、「丸一日」の人も結構います。一人旅の女性は、隠岐や美保関が目的の人も一定数いますが、短時間でも町を歩かれる人が多いです。そもそも観光目的が明確でなければ泊まらない傾向が顕著。「寝るだけ」の人は、殆ど入りません。
「一人旅の女性」「ファミリー」ともに「食」が目的の人も多く、「外食率」は高め。ファミリー層は車で来られる人が多いので、郊外へ出られる傾向があります。なお、「宿で提供している朝食用の食パンを食べていかれる人」は、圧倒的に「一人旅の女性」が多いです。
「グループ」になると男女とも若干、滞在時間が短くなり「1~3時間」が主。「夕食をほかで済ませてからチェックイン」が多いです。
男性や年齢が高めのご夫婦は、そもそも「水木しげるロード観光が目的ではない人」が多いのと、夜間ライトアップには関心が低めです。あと男性の一人旅は「外食率」が低めで、スーパーやコンビニで食材を買って宿で済ます人が多いですが「チェックイン前に購入を済ませてくる人が多く、夕方に到着しているのに、一度も外出しなかった人」が複数いました(女性客とファミリーは、このケースが皆無なので「ライトアップおよびまちづくりへの関心度」に差があると感じます)。
また、滞在時間に関しては、ファミリー以外は「公共交通機関or車・バイク」で大きく差が出ます。圧倒的に公共交通機関の利用者の方が長く滞在されます(連泊も車・バイクの人は非常に少ないです)。


日本国内在住ではない外国人のご利用は約2%(昨年は約7%)。昨年も今年も1~3月と10~12月が多め(昨年は6月も多かった)で、冬期・閑散期に増える傾向があります。
海外からの予約は、「ものすごく早いか、前日か当日」が殆どなのですが(ちなみに男性客もこの傾向あり)、うちの場合、予約サイトは日本語版のみで、しかも30~50日前からしか販売していませんので、グループやご家族は殆どなく、直前に片言の日本語か英語で予約される一人旅が大半です。
国内在住の外国人も含めると、総比率としては今年は約6%。11月24日、開業以来初めて「別々に外国人が3人」入りました。11月下旬は20日と23日にも台湾と香港からのご利用があるなど、うちとしては外国人率が高くなりました。
現状、県がかなり熱心に外国人誘致を進めており、1月にも1組、既に予約が入っているので、今年は下がったものの、また比率が高まるかもしれません。
なお、外国人は男性一人旅が意外と入っています。むしろ比率としては高めです(日本人男性が平日に来ない、公共交通機関で来ない、というのもありますが)。


外国人対応については、特に県の観光関係各所と宿泊予約サイトから、受け入れの要望の連絡が非常に多いです。
ただ現実問題として「不泊」を防げるかどうか、と、うちの場合は「子どもの受け入れ」を積極的に行っているので「相性」の問題が生じます。男性用のドミトリーと同じく「建物の構造的に難しい点」があります。
昨年「韓国人の不泊が3件あった」ので連絡手段を強化し、外国人に関してはメールに加え、lineかfacebookでやり取りができることを条件に加えました。直接来られるケースが年に数回ありましたが、当日予約は男女・人数を問わず不可にしています。


正直なところ現在、町として非常に増加しているの中国・韓国からの観光客の受け入れについては、一つ大きく困ることがあります。
それは「時間を守る観念がない」傾向が非常に強いこと。特に「チェックアウト時刻を守っていただけない」ことに困惑しています。
うちは「水木しげるロードの店が開く時間には町を楽しんでいただきたい」という観点から「9:30チェックアウト」と定めていますが、一般的な宿は「10:00以降」が多いためか「10時まで出発しない人が非常に多い」のです(ほかの宿ではどうなのでしょうか?)。
比較的緩く対応はしていますが、特に繁忙期は、ほか全員が出発しているのに一人だけ部屋から出てこないと掃除やメンテナンスができず、ご到着に向けての準備にも取り掛かれません。ご到着時刻のずれも大きめ(22時予定で予約して17時に来られる――など)ですが、まず事前連絡はありませんし、「時間外」でも平気でいきなり来られるのは、通達しても殆ど守られません(それがSNSでの連絡を加えた理由でもあります)。
ご家族や女性客は、遅くとも9時前後には出発(または荷物を置いて観光)される人が多いですし、ご到着時刻も、大幅に変更になる場合は事前に連絡してくださる人が大半です。
県などから外国人の受け入れ要望があるたびに、こういった「現実」を説明するのですが「解決方法」に相違があって、ご理解いただけないことも多いです。
「事前予約」を原則とし、やり取りが明確にできれば外国人も受け入れているのですが(やはり「予約ルール」が最大の基準。逆に言えば、予約ルールが守られていれば断れません)、文化の違い、マナー面の違いなども難点ですが、宿としては「時間にルーズ」なのが最大の問題事です。


今年、子ども連れのご家族優先増えた一方で、「男女2人でのご利用」は大きく減少しました。「開業年の5か月間」が最も多く、年々減っています。
これは「予約サイトでの販売を停止したこと」がすべて。「男女2人」で予約して来られるのは殆どが60歳以上で、安い旅館などのつもりで予約される人が多く「基本的に部屋にこもる」ので、「テレビ・新聞がないこと」「部屋は2階ですが水回りは階下で、シャワーのみ」への苦言がありました。また、「客室内は飲酒不可」(換気が悪く匂いが抜けにくいため)というルールを定めていますが、守っていただけないケースが非常に多いです(男女混合または男性グループも、その傾向あり)。予約者が60歳以上の男性だと「詳細を読まずに予約されるケース」が多いので、上記のような特徴やルールの説明を改めて強化しました。そのため現在は、大抵がキャンセルになります。
かつて、高齢の女性で「階段を上がるのに難儀した人」もいたので、このあたりは如何ともできません(杖なしでは歩くのも大変そうでしたので、ほかの宿でも「2階以上」は無理だったと思いますが・・・)。こういったことも調べずに予約される人も多いのが現実です。なので、この年代だと「ユースホステル慣れしたタイプ」でなければ、うちでは難しい感じです。
公式ホームーページからでも「50歳以下」の男女2名でのご予約は非常に少なく(外国人カップルを含めても、2年半の通算で5組しかありません)、満足度に繋げられる客層でもないので、全くないものとして考えています。


そうしたことから予約サイトでの販売は廃止し「子ども連れのご家族限定プラン」しか出さない形に変更しましたが、「ご夫婦のみ(または男性1人)」からの「誤予約」が、月に1~2件はあります。予約者は大半が60歳以上の男性で、「プラン対象ではない」ばかりか「宿からの質問事項への返答がない」(酷い場合は連絡先が固定電話しかない)ものばかりです。
「旅館などとの違い」は事前にご理解いただかなければならないので、せめて「プラン条件(タイトルに明記)の確認」と「必要事項の記載」は怠らないでほしいのですが・・・。世代的にネット予約に不慣れなのもあると思いますが、これは残念に思います。
「予約ルールが守られている人は、宿内でのルール違反や苦言もない」傾向は顕著ですし、「予約の時点から旅は始まる」ものだと思っているので、「予約の大切さ」はご理解いただきたいと願います。


利用者の過ごし方の傾向としては、「子ども連れのご家族」は殆どが「外食して戻られたらコミュニティスペースで少し寛ぎ、部屋に入ったらすぐ寝る」という感じ。子どもが寝てから親だけがコミュニティスペースに来られることも結構あります。
一人旅の女性は、寝る直前までコミュニティスペースで寛ぐ人が主。「翌日の計画」に関して相談されることが多いです。女性同士が集っても「今回の旅」を話題にされる人が多いと感じます。
コミュニティスペースは、人数が多い日は自由に談笑する雰囲気になりますが、ご利用は「ファミリー⁺一人旅の女性」が中心。ご夫婦やグループはコミュニティスペースを使わず「部屋で話し込む感じ」で、繁忙日は特に「輪に入らない傾向」が強くなります。
あと「グループや男性は、就寝時刻が遅く、朝も遅め」ですが、一方で「子ども連れのご家族は、夜は早く寝て、朝が早い」傾向があります。そのため繁忙日は「隣同士の部屋になった場合の『相性』の悪さ」が浮き彫りになります。
女性専用ドミトリーは部屋が離れているので個室との接点は少ないですが(トイレや洗面所も別。なので「女性グループ」は2階の個室ではなく、こちらへ入れる場合も多い)、個室2室は隣同士なので、就寝時間のずれや部屋での過ごし方などを考えると「条件の近い組み合わせ」でないと受けにくいのです。


今のルールは「部屋での過ごし方」のずれで「寝る環境」が整わず、昨年3~5月にこの点での不満を受けたことによって定めたことと、ご理解いただければと思います。
最初に入った予約を基に「相性」を考え、対象を絞って販売する形を採っているため、結果的に部屋が空いてしまうことも多いのですが、「ご家族」「ご夫婦」「グループ」「男性のみ」で、それぞれの傾向が顕著に異なるので、致し方ありません。特に「寝るだけ」のつもりで来られると、設備的にも雰囲気的にも「思ったのと違う」となるため、事前の明確な説明は大事だと思っています。
「ゲストハウス」という観点で見られた場合も「子どもは泊まらない」(交流場所に来ない)と捉えられている人がいるので、「子どもの受け入れを積極的に行っていること」「子どもがコミュニティスペースで遊ぶ雰囲気」であることは前面に出し、「合う、合わない」を見極めていただくしかないと思っています。


こうした対応については「厳密すぎる」という批判もあります。「予約ルール」は徐々に厳しく改めているので、利用者からすれば「敷居の高さ」があるかもしれません。
ただ、「信頼関係」を築く第一歩が「予約ルールの順守」だと思います。
ゲストハウス慣れした人からは「こんなに詳しい案内を送られてくる宿はない」と言われるのですが、うちの場合は「ゲストハウス様式の宿の未経験者が多い」「ゲストハウス様式だが、雰囲気や考え方はユースホステルや民宿に近い」「民家を改修しているのもあり、建物の構造に特徴がある」ので、そこは丁寧にすべきだと思っています。
自分が「目的地ありきで、遅くとも前日までに予約」で「きっちり調べるタイプ」なので、当日予約の多さや、よく読まずに予約される人が思った以上に多いのは、今でも困惑していますが「今の主流となっているゲストハウスの様式」だと、それが当たり前なのかもしれません(前述のとおり、自分はユースホステルや民宿と同じように捉えていて、観光地型の宿しか利用経験がなく、ゲストハウス自体を好むタイプの旅行者とは志向が違う感がある、と気づいています)。


予約面での対応を強化したことから、今年は「不泊」が1件もありませんでした。これは宿として、非常に重要だと思っています。
昨年は韓国人3件以外に、日本人も4件。一昨年は日本人が1件ありました。外国人は連絡が不可能、日本人も殆どが連絡不能でキャンセル料は誰一人払ってもらえませんでしたが、1件だけ「予約ではなく問い合わせだけのつもりだった。確認メールは見ていなかった」という「行き違い」もありました。そのため昨年秋ごろからは、予約時の確認メールの返信をお願いするとともに、2~3週間前までに予約された人に対しては、数日前に再確認メールを送るようにしています。


ちなみに今年は「キャンセル料が発生するケース」も、一度ありません。
台風の影響による前日キャンセルが2組あったのみ。5~7日前くらいのキャンセルは増加しましたし、予約取り消しも昨年よりは多めですが、入り込み数が増えているので比率としては大差なく、仕方がない感じです。また、ご家族は「予約が早め」ので、取り消しが起きやすい感はあります(なお、前日や当日に電話で予約されたものの取り消されたケースは数件ありますが「24時間以内」でしたらキャンセル料の対象にはしておりません)。


受け入れるうえで、個人的には「詳細を読んでいない予約」と「不泊・直前キャンセル」が最も困ります。「予約の大切さ」については、もっとご理解いただきたいと願っています(それに絡めて現在、大手サイトへの登録を一部廃止し、新たに小規模な紹介サイトに登録準備を行っています。また、併せて検索ワードなども見直しました。「ゲストハウス」として探すと見つけにくくなると思います)。


総合的には「子ども連れのご家族」が倍増、「一人旅の女性」が少し増加、「男女2人」は大幅に減少、「男性1人」が半減。あとは前年並み、という感じになりました。
「旅人・観光客の割合」としては「昨年までは90%くらい、今年は98%くらい」。「隠岐フェリー欠航」など不測の事態以外では殆どありません。上記のとおり「旅・観光以外」での事前予約が入っても、詳細確認の強化でキャンセルが多くなりました。
予約の「成立」は、公式ホームーページからは「約9割」(キャンセルはやむを得ない事情が多い)ですが、予約サイトからで「6割弱」(サイトによって、ばらつきは大きいです)。かなり「低め」ですが、「思ったのと違う」と言われることや「不泊」のほうが、個人的には避けていきたいことですので、致し方ありません。


「子ども連れのご家族」の増加は、「子どもが鬼太郎のアニメに関心を持ったから」と「目的地意識」が明確なので非常にありがたいですが、課題としては「土曜日や繁忙期への偏りが顕著なこと」。今年、入り込み数が50組以上増えたにもかかわらず、「稼働日数」は本日以降の予約を含めても「わずか9日しか増えていない」のです。特に7月と11月は偏りが顕著でした。3部屋しかないため、当然「満室で断らざるを得ないケース」も多くなりました。
本来なら個室利用者が平日に増えるのが理想ですが、現実的には難しい感じ。「女性専用ドミトリー」は平日と休日の差が小さいので、結局、平日は「一人旅の女性客」を期待するしかありません(開業当初は男性用のドミトリーを設けていましたが、男性は一人旅もグループも土曜日・繁忙期に偏る傾向があり、平日は全く伸びませんでした)。


女性客は昨年も今年も、一人旅は、最多こそ土曜日ですが曜日ごとの差が小さく、2番目に多いのが木曜日。なぜか木曜はよく入ります。前日~3週間くらい前の予約が多いです。
グループは一人旅と比べると繁忙日に増える傾向があり、日・木・土曜にやや偏っています。日曜は3連休の中日のケースがあるためですが、こちらもなぜか木曜が多いのです。
一人旅はお盆や3連休でも入らなかった日もあり、ドミトリーが4ベッドすべて埋まったのは、僅か4回しかありません(「一人旅×4人」だと計3回。なお、ドミトリーは4人部屋ですが、こちらも「相性」と「就寝環境を保つ」うえで、予約サイトでは「2人分」しか販売していません)。


来年2019年は、まだ「アニメブームの効果」は多少あるでしょう。
県のインバウンド強化もあり、観光客数自体は「今年と同じくらい」入るかもしれません。
ただ、団体や外国人が増えた一方で「平日の個人客」は伸びていない(というか減っている)と思いますので、宿泊としては「繁忙日に偏るだけ」になりそうな気がしています。
2016年夏の開業当初と比べて、個人客の層が明らかに変わりました。「まち自体に関心の強い旅人」は減ってきていますし「初期~成長期の水木氏ロード自体のファン」からは厳しい声も頂きます。「旅」として好まれる地ではなくなってきているのか、5~10年前と比べると、特に「20~30代の男性の一人旅」を見掛けなくなりました。女性客も、一人旅は増加しているとは言えないかもしれません。学生層が増えていないと感じるのも気がかりです。
また、子ども連れのご家族についても、宿泊者に関しては、リニューアルまでは「親が旅好きで、子どもと一緒に旅を楽しむタイプ」が大半でした。今春までは「ゲストハウス利用経験者」も多かったです。リニューアル後は、「アニメの影響による子どもの希望」が圧倒的に勝っているため、約95%が「ゲストハウス様式の宿は未経験」で「旅行自体ほとんどしない」というご家族もいました。
ご家族の場合は、コミュニティスペースでの過ごし方、町の楽しみ方などは大差ないですが、来られる「理由」としては変化しています。これが「次に繋がるのか」は未知数です。


また、今回のリニューアルが、それまでに来られた人にとって「また旅しよう」とまでは思われていないと感じます。
特に「一人旅の女性」の多くにとって、水木しげるロードは「山陰広域で廻る中の一つ」であり、決して「主となる目的地」ではありません。その中で「『旅』として何度も訪ねたい町」と捉えてくださっているかは微妙。少なくとも、リニューアルとは関係がない気がします。
なので「もう一度来てくださるか」を考えると、イベントなどで定期的に来る密度の濃いファン層以外は難しい気がします。利用者から「輪を広げていければ」と思います。
一方で、ある程度の熱心なファンは、イベントなどで定期的に来てくださっています。ただ「宿泊」となると「SNSなどでファン同士での繋がりを持たないタイプ」が大半。まあこの客層を安定して拾い上げていくのは、重要なポイントではあります。ファン同士は繋がりも濃く「仲間内で固まりたい」ので、うちのような宿にはあまり来ませんし、実際、一般の「旅好きとして来られた人」と「マニアックなファン層」とでは、合わない感もありますので・・・。
ファミリーの増加については、目的が純粋なので喜ばしいですが「まちそのもののファン」の拡大には、なりにくいとも思います。来年の再訪はあるかもしれませんが、アニメ放映が終了したころには、併せて子ども成長しますので「飽きたら終わり」の懸念も。「3年後には繋がらない」というのが現実でしょう。「同一のご家族」の場合、「短期的なリピート」はあるでしょうが、「年1回ずっと」とは、なりにくいものです。
コミュニティスペース自体は「子どもが気楽に寛げる雰囲気」には拘っていますが、「『旅』がベースになっている人」「アニメよりも水木先生の人物像や、まちづくりへの関心が強い人」のほうが楽しめる感じにしていますし、長期的な視野をどうするかは、非常に難しいものがあります。


「まちづくりの成功には、子どもと20代女性のファンをつくること」にあるとよく言われますが、子どもの志向は「引き継がれること」がポイント。「ドラえもん」や「アンパンマン」のように「低年齢層の誰もが通過する」というところまで「鬼太郎」を持っていけるかは、難しい気がします。「作品」としては「3世代で楽しめる」とはいえ、「観光」となると考え方が違ってきます。
なので、やはり「原点」に立ち返り「水木先生の生きざま」を、周囲への影響力と拡散力がある20代女性に関心を持っていただけるよう努めるのが、長い目で見た観光振興になるとは思いますが・・・。いろいろな面で変化してしまった気がします(そのあたり、飲食やグッズ販売を主流とする店とは、当然、違う考え方になりますし・・・)。
余談ですが「水木先生の生涯を彩る巡回展」が各地で行われていますが、同じ内容なのに各地へ出向いて何度も見に行かれている人もいるようです。そういった話を耳にすると、やはり観光振興としては「水木色」を強めるほうがいいと思えてきます。


その時その時で、利用者層に合わせていければいいのですが(それが本来かもしれませんが)、地域内にいくつも宿がある以上は、タイプごとの「棲み分け」も必要だと思いますし、「平均的に好まれる」よりは「合う、合わないが明確でいい」という考えでいます。宿を探す側も「価格」「場所」「設備」「雰囲気」――など複数の要素から「比較検証」して決めるほうが、満足度は高まるはずです。
うちの雰囲気で、ビジネス客や寝るだけの人に満足していただくのは。はっきり言って無理ですし、方向性を変えることは「旅」として好んでくださった人に対して申し訳が立ちません。
また、特徴と「時勢」との関係性も、その時々で変わるものです。うちのやり方は「ブームに乗らない」姿勢なので、「ブームが過ぎてから」これで良かったのかどうか「結果」が出ると思います。


来年の目標については、ある程度の数字を示していたのですが、触れないことにしました。
各月ごとの「目安」は定めますが、「数」だけが増えればいいとは思っていませんので「結果」としてだけ捉えます。ただ、時世に逆行することであっても、反感を買ったとしても「公共交通機関を駆使して『旅を楽しみ』『“まちづくり”としての水木しげるロードを楽しむ』人」が増えてほしい願い、その点で、どうなるか、です。「旅宿」としての理念と「水木先生の“想い”」など「原点」への拘りは忘れず、それらを基に寛げる空間づくりに努めていくしかありません。
特にリニューアル後は、良くも悪くもいろいろ思うところがあり、思い切った方向転換も考えています。「来年」はある意味「捨て年」で、「再来年以降」を見据えて物事を捉えています。経営的な能力が全くない(というか金勘定として割り切れない)ですので、現実的な問題は圧し掛かってくるでしょうが、「原点」に拘ったうえで、舵を切る方向を定められればと思っています。
違和感を覚えたなら、儚んで閉ざす――、それも人生です。


長文になりましたが、このまま掲載いたします。