「旅の宿家」鳥取境港❝縁❞ ブログ(^^♪

とにかく「旅」が好きな自由人。
「旅そのものと境港・水木しげるロードを楽しむ」に拘った「旅の宿家」(ゲストハウス様式)を、2016年8月26日にオープンしました。
https://guesthouse-en.jimdo.com/
女性客とファミリー主体の”遊び心”いっぱいの寛ぎの空間です!
米子や大山、松江、美保関、隠岐などへの起点としても生かせる「妖怪と魚の町」を楽しんでください!

「てぬぐい ひらひら」―海とくらしと伯州綿―

このたび、境港の伝統資源である「伯州綿」を使った「ご当地てぬぐい」が誕生しました。

その誕生を記念して、各種150枚を屋外に展示。青空の下ではためく様相は、なかなか壮観です!
本日から5日(日)まで「海とくらしの史料館」を無料開放し、ワークショップや日替わりマルシェをはじめ。各種イベントが行われています。

初日の今日は、今まで「史料館」では見たことがないほど、にぎわっていました。ただ、観光客よりも地域住民が多かったように思います。「無料開放」という貴重な機会が生かされていないのは、もったいない気がします。


「水木しげるロード」を観光される人でも、「史料館」まで足を延ばされるのは、ほんの僅か。認知度不足に加え、こういったイベントも「観光客への積極的な告知が足りない」と感じます。
公共交通機関で来られても、境港駅から「はまるーぷバス」で10分もかからずに行けますし、「水木しげる記念館」との共通割引券もありますので、「妖怪と魚の町」として、ゆっくり、幅広く楽しんでいただきたく思います。

“技”と「実体験」で旅をプランニング

当宿は「旅のプランニング」に尽力しています。
特に「公共交通機関の上手な利用法」が得意で、境港・山陰に限らず、自分が訪ねたことがある土地はもちろん、未踏の場所でもシミュレーションを利かせて、応用を利かせたプランを考えています。
乗換案内や時刻表検索では分からない“技”は、小さい旅を数重ねてきた「実体験」に基づいて「応用」に目が向くようになったと自負しています。また、自分が「調べる・考える・応用を図る」といった行為が好きなのと、「それでも結局は行き当たりばったりになるので、複数のプランを用意する癖がついたこと」が、特技になった感じです。
旅行地理検定や時刻表検定などの資格も持っており、「基本」も抑えているつもりです。

プランニングにおいて、場所やアクセスだけでなく「車窓からの景色(進行方向の左右どちらに座るのが良いか)」「理想の時間帯」「天気予報、気象情報」に加え、年齢や性別、旅慣れているか、長い距離を歩くのが苦にならないか、拠点型が移動型か(荷物を持ち歩くかどうか)――なども含めて、一緒に考えることを大切にしています。
自分が「仕事の合間に短い旅を数重ねてきた」ので、割と「効率重視」だったこともあります。写真をかなり撮ってきましたが、季節や時間帯を変えることで見ごたえも違ってくるので「どの時間帯に、どこへ行くのがベストか」は、いつも考えていました。だから「拠点を決めて概ね2泊し、天気予報を基に行程を決めること」が多かったです。
うちの利用者は「旅全体で2~3泊(うち境港に1泊)」の人が主流ですが、だからこそ、「無駄なく楽しんでいただけること」に、少しでも協力できればと思っています。


特に気を付けているのは、以下の点。
●複数のプランを考える(時間幅を変えたり、目的地を増減させる)
●場所・時間・費用・手段――など何を優先にしているかを重視する
●欲張りすぎない
●強要しない(主観を入れない)


務めは、あくまでも「プランニング」。
お薦めの場所として提案しても、共感を示すかは旅人次第。「一緒に考えること」が大切だと思っています。特に「どれくらい滞在時間を取るか」は個々で感覚が違いますので、あくまでも「目安」。列車の本数や時間などの制約を考えつつも、決めつけないようにしています。


問われるのは概ね、次の2パターン。
※①「出雲方面へ向かう。出雲大社以外の見どころは?」
※②「鳥取方面へ向かう。鳥取砂丘以外の見どころは?」


うちでは一人旅の女性ほど「主要目的地を決め、あとは現地で考える」という人が多いです。


※①の場合は、出雲では「日御碕・旧大社駅・稲佐の浜・島根ワイナリー・古代出雲歴史博物館など」、松江では「松江城・宍道湖・堀川遊覧・武家屋敷・小泉八雲記念館・八重垣神社など」――が候補地。
※②の場合は、倉吉(白壁土蔵群)・三朝温泉・由良(コナン通りや青山剛昌ふるさと館)・東郷池・白兎神社――などが挙がります。
このほか、大山寺周辺や植田正治写真美術館、美保関、足立美術館へ行かれる人がいますが、これらは「幹線ルート」から外れるので「アクセスの確認」という感じです。


「候補地」はたくさんありますが、神社仏閣を廻りたい人もいれば温泉を好む人もいますし、雨なら美術館や博物館が選択肢として上ってきます。バスや電車を使うか徒歩で行くか、レンタサイクルを組み合わせるかなども、天候に左右されます。次の宿泊地にもよりますし、早起きが苦にならないかなどもかかわっています。
ポイントは、手段の“使い方”と「組み合わせ」です。


山陰は公共交通機関の便が良いとは言えない(むしろ悪い)ので、要望を引き出しながらプランを組み立てるのは、容易ではありません。
境港から松江・出雲方面へ向かう人なら、JRで行く方法と、一畑バス+一畑電車という選択肢があるうえ、主要降車駅も松江・出雲に絞られるので複数のプランを考えやすいのですが、鳥取方面はJR一択の上に本数が少ないため、選択肢が狭まります。しかも東郷池以外は「下車駅から徒歩で行けない」ところがばかりのため、途中下車の判断も難しくなります。
ただ、そんな「制約」があるからこそ考えるのが面白いですし、自分の持つ“技”も発揮できると思っています。実際、時刻表を読み解くことなどを不得手にしている人も多いようで、それなりに重宝されていると感じます(頂いたメッセージに「プランニングが助かりました」と書いてくださる人が多く、うれしいです)。


応用例としては「白兎神社」。鳥取方面へ向かう一人旅の女性と外国人に好まれる場所ですが、公共交通機関でのアクセスは鳥取砂丘などに比べると容易ではなく、旅行冊子類だけを見て「行きにくそう」と諦めてしまいがちです。しかし実は選択肢が複数あり「末恒駅から30分歩く」方法と、「末恒」「鳥取大学前」「湖山」「鳥取」の各駅からバスで行く方法があります。バスの拠点になる駅が4つもあるのがポイントで、列車の時刻や料金、鳥取駅からの次の目的地(砂丘方面へのバスとの乗り継ぎなど)によって「どの駅を利用するか」を決めることもできます。往復で徒歩とバスを使い分けることで変化も付きますし、時間的な効率も高まります。
また、事前プランニングをきっかけに、うちに連泊して「境港→美保関→松江→(由志園)→境港」というルートを採られた人が複数おられますが、宿に荷物を置いたまま無駄なく動けますし、フリー切符との組み合わせも可能で、「境港での連泊が有意義になる応用プラン」の一つです。


こういうケースは、時刻表検索では対応できませんが、上手に手段と方法を見つけることができれば、容易に可能になるのです。
「青春18きっぷをベースに、一部は特急を使う」
「縁結びパーフェクトチケットとJRを組み合わせる」
これらと同じで、縛られないことが大事です。


調べ慣れていない人の声として、「迷って無駄な時間を使い、メーンの場所以外どこへも行けなかった」と言われることがありました。山陰の場合、「出雲大社がJR出雲市駅から列車かバスで20~30分かかる」「JR松江駅と一畑の松江しんじ湖温泉駅が徒歩で30分ほどかかる」ことで、調べ方が拙いと無駄なロスが発生することがあるのです。
「そういうハプニングも旅の楽しみの一つ」で、ガチガチに決めて動くよりは個人的には好きですが「諦めるのは、もったいない」とも感じます。だから「融通を利かせた複数のプラン」を提案しつつ、実行は本人次第、が基本です。


ちなみに「宿の管理者」という立場として「同行者」にはなるべきではないと思っています。直接的な「案内」は「水木しげるロード」を「片道だけ」説明して歩くか、「夜間ライトアップ」を見に行く場合のみ安全面への配慮からご一緒する程度。それ以上は行っていません。
「旅人同士」で一緒になるのとは意味合いが違いますので、「水木しげるロード」以外については、あくまでも「プランニング」の協力のみ。そこは明確な“区切り”を付けています。


「旅を知り、学ぶ」、そんな空間を、宿の特徴として大切にしていきますので、遠慮なくご相談いただければ幸いです。

「町づくりの原点を守り伝える宿」として――

先日、卒業論文で「水木しげるロードの町づくり」を取り上げるために来られた山口県の大学生2名にご利用いただき、その際に「町づくり」や「観光振興」に関する本を図書館で借りてきて、自分もいろいろ読んでみました。


自分は「水木しげるロードの町づくり」に惹かれて、観光客として何度も訪れていたのがきっかけでの移住です。決して「水木作品」や「妖怪」に詳しいわけではなく、「鬼太郎」などは子どものころに親しんだとはいえ、特別な思い入れがあったわけではありませんでした。


あくまでも「町そのもの」のファンになったのです。


「前例のない、成功事例のない町づくりに取り組んだこと」、それこそが「水木しげるロード」の最大の魅力です。
今、町づくりを始めて20年以上が過ぎ(起案からは30年弱)、紆余曲折ありながら少しずつ発展したものの、大ブームをつくった反動で観光客の傾向や動向が変化してきました。ハード面は徐々に良くなったと思いますが、ソフト面では「商業ベース」が勝ってきており、「水木しげるロードの本来のコンセプト」が薄れ、反映されなくなってきています。
今、行われている大規模リニューアルにより、本来のコンセプトへの「原点回帰」をしつつ、新たな楽しみを加えていくことが不可欠だと思います。


今回、さまざまな「町づくり」や「観光振興」に関する著書を読んで、印象に残った言葉を列挙します。


●「一見客ではなく、リピート客を創る。そのためには、ソフト面のノウハウと能力が必要」
●「外観だけではなく、コミュニケーションの活性化が大事」
●「やる気のある部分、できる部分から始めること」
●「結果の平等ありきの発想では、効果が出ず、成功事例を表面的に模倣する取り組みしか導けない」
●「個店が自ら知恵を絞り、その知恵を自らリスクをとって行動に繋げる」
●「表面の模倣ではなく、本質の応用を実行すべき」
●「顧客の不満に耳を傾けて、その解決を実行する、顧客志向な発想と行動力は成功への要因」
●「斬新な企画は、既にあるものを組み合わせることで生まれる。組み合わせはアイデア創出の定番」
●「ありがとうの気持ちが伝わる言葉と感情を示す」
●「できる形、小さな形で取り組みを始める。重要なのは行動に移すこと、試行錯誤を繰り返すこと」
●「前例や成功事例を模倣しないで、独自のアイデアを考える」
●「人の繋がりやコミュニティの強さを生かす“交流戦略”が不可欠」
●「最も重要な目線は、何をやるかではなく、顧客目線か」
●「“サードプレイス”は、人がリラックスできる居場所であり、人の才能や意欲を引き出す場」
●「人と交流・交渉するときは、まず自分で調べ、由来に興味を示す」
●「良質で優れた魅力が備われば、旅行者は必ずやってくる」
●「もう一度行ってみたいと思わせる魅力ある地域づくりこそが、観光振興の要諦であり本質」
●「“着地型観光”では地域の特性や持ち味を生かした、きめ細かな商品開発、個性ある観光地開発が可能」
●「もてなしと地域づくりで個人客の心をとらえる。個人が楽しめる雰囲気や滞在生活の魅力を創出する」
●「既存資源を生かし、知恵と工夫のソフト面で集客。キーワードは“参加交流”」


あらためて、学ばされることがたくさんありました。
「町づくりの原点を守り伝える宿」として、こういったことを大切に取り組んでいきます。

「大山るーぷバス」利用割引を実施します。

大山の紅葉が美しくなる時期になりました。
あす10月23日(月)~11月2日(木)は、平常時は週末のみの「大山るーぷバス」が平日も運行されます(1日乗り放題1,000円)。
この機会に境港観光と併せて、ぜひ「大山寺」や「枡水高原」、そして境港出身の写真家「植田正治写真美術館」などを楽しんでいただきたく思いますので、10月23日(月)~11月2日(木)のご宿泊については、「大山るーぷバス」を利用される人は300円割引いたします。
境港に連泊して大山へ向かう旅も可能ですので、ぜひご活用ください。



卒業論文のテーマは「水木しげるロードの町づくり」

昨日19日(木)、卒業論文で「水木しげるロードの町づくり」を取り上げる学生2人にご利用いただきました。
観光協会や水木しげる記念館を訪れて話を伺うなどされ、夜はライトアップを見に行きがてら、創世期の取り組みや現状、リニューアル工事や問題点などの話になりました。

うちの宿は「旅を愛し、語り合う」だけでなく、「旅を知り、学ぶ」空間づくりを大切にしています。
そして「水木しげるロード」の宿として、この町が観光地として発展した「町づくりの原点」を守り伝えるとともに、現在に至るまでの変遷や成功の裏にある問題点などを、ずっと考え、抱いていかなければならないと思っています。
だから、この「町」を学んでくださる人にご利用いただけることほど、ありがたいものはありません。


うちの利用者の80%は「水木しげるロード」の観光が第一目的です。
隠岐や美保関の観光、あるいは航空祭や水産まつりなどのイベントが第一目的の人であっても、仕事や結婚式への出席などで来られた人であっても、女性客やご家族は大半が、僅かでも「水木しげるロード」を散策されます(年配のご夫婦や男性は全く散策しない人もいますが、最近こういった客層は入らなくなってきました)。


「水木しげるロード」の存在があってこそ、生かされる空間なのです。


だから、単に「泊まってもらう」だけでは駄目だと思っています。


うちはもともと「それぞれの『旅』の『目的』に合わせた対応」に重点を置いています。
寝る環境を「ゆっくり休めんでいただける」ように整えるのと同時に、「水木しげるロードの『町づくり』を知って、『町』と『旅そのもの』を楽しんでいただくため」にコミュニティスペースを「活用」していただくことを願っています。
おしゃれさや設備の充実も大事にしなければならないと思いますが、それ以上に「楽しんでいただくためのサポート空間」でありたい、そんな「気持ち」で取り組んでいます。
それが、うちの宿の最大の特徴として、伝え広めていきたいことです。


うちを利用される学生さんは、すべてと言っていいほど礼儀正しく、旅への想いの強さや、「学び」に対する真摯さを感じます。
世代別での統計を見ると、男性は学生の比率が高めですが、女性は20代後半~30代前半が圧倒的多数で学生は決して多くありません。2・3月や8・9月の入り込み状況から見ても、学生のご利用は想定より少ないです。


今回の2人は「初ゲストハウス」で、ホームページでコンセプトを見てご連絡いただきました。うちの宿と「町づくり」に関心を示してくださったことに感謝し、「学び」に対して「水木しげるロードの魅力や本質」を感じていただけるよう応えていきますので、こういった客層も増えてくださることを願っています。